

無痛分娩 院長から
無痛分娩は、産科医・麻酔科医・助産師の連携と技術が必要な医療分娩です。しかし、技術と設備だけでは、当院(MLC)の理念の「ひと」と「ひと」のつながりによる安心の提供はできません。
MLCでは2015年より麻酔科医による硬膜外無痛分娩を開始しました。その頃、関西での無痛分娩での不幸な報道が多数なされていました。 そこで、麻酔科医による安全だけでなくクリニックの良さである互いの顔が見える安心も提供できる無痛分娩体制を作りたいと考えました。
現在、麻酔科部長加藤真也医師、佐藤逸郎医師、江渕慧悟医師、吹田真一医師を中心とした麻酔科医チームによる24時間365日無痛分娩が提供できています。彼らは互いに長年の個人的友人でもあり、このチームワークがMLC無痛分娩の良さと思います。そして彼らの妊婦さんへの優しくも熱い思いが、MLC無痛分娩の100%麻酔科医立会いと極めて低い無痛からの帝王切開率を維持してくれています。
さらに彼ら麻酔科医は救命技術にも優れ、無痛分娩以外の通常分娩のみなさまの母体急変時や緊急帝王切開や新生児の蘇生介助などにも迅速に対応できます。
今後もクリニックの良さである「ひと」と「ひと」のつながりを生かし
互いの顔や心も知る医療チーム規模のつながりによる安全と
外来や教室で育まれた妊婦さんとのつながりによる安心と
入院生活を支えるサービスの快適さまでも提供する
MLC分娩とMLC無痛分娩を、数ではなく丁寧に発展させたいと思っています。
令和4年5月
理事長・院長 小西光長
MLC麻酔科医によるMLC無痛分娩について
MLCでは、安全性と皆様とのつながりを最優先に以下の無痛分娩を提供しています。
- MLC麻酔科チームが、分娩終了までの麻酔処置および全身管理を行います。
- MLC麻酔科チームが、24時間365日体制で、計画日以外の夜間の突然の陣痛や破水にも対応します。
- MLC麻酔科チームが、皆様とつながりを優先するためのZOOM無痛教室と、最終希望者には麻酔科外来で個別面談とリスク評価を行います。
- 計画無痛分娩費用
15万円(硬膜外カテーテル挿入料5万円+分娩までの麻酔科医による麻酔分娩管理料10万円)を通常の分娩費用に追加させていただだきます。 ただし、- 硬膜外カテーテルを挿入したが分娩に至らず退院になった時は、硬膜外カテーテル挿入料の5万円のみいただきます。
- 無痛分娩進行中に緊急帝王切開になった時は、硬膜外カテーテル挿入料の5万円+通常の緊急帝王切開料金をいただきます。
- 2023年4月1日分娩より 夜間(20時〜翌朝8時)・祝日・日曜の硬膜外カテーテル挿入料は通常のカテーテル挿入料に5万円を追加させていただきます。
無痛分娩の流れ
- 無痛分娩予約
- 安全性最優先から、原則事前予約による計画無痛分娩ですが、計画日前の破水や陣痛でも24時間365日麻酔科対応しています。そのため1日の実施可能枠が埋まり次第終了しています。
- 現在、増枠中ですが、枠が早期に埋まりご迷惑をおかけしています。当院妊婦健診中の方も妊娠20週までのなるべく早期に外来担当医にお申し出されることをお勧めしています。
- 里帰りの方は、帰省時にはすでに枠が埋まっている可能性が高く、24週までのなるべく早期にご本人から診察時間にまずはお電話ください。
- 麻酔科外来受診
- 後日、麻酔科医が、無痛分娩についてご説明します。
- 最終予約
- 麻酔科外来のちの産婦人科外来で外来担当医と日程を決めてください。
ご家族とご相談の上でのキャンセルももちろん可能です。
なお、予約枠が埋まった場合は、ご希望に添えないことがございます。ご了承ください。
- 麻酔科外来のちの産婦人科外来で外来担当医と日程を決めてください。
- zoomによる無痛分娩教室
- 無痛分娩に興味があるけど決めかねている方、無痛分娩について具体的に知りたい方、無痛分娩することに決めたけどいろいろ聞きたい方、麻酔科医が無痛分娩についてわかりやすく解説します。ぜひご参加ください。→詳しくはこちら
- 無痛分娩数の推移年度=5月〜翌4月末

- 月平均無痛分娩数

- 当院の無痛分娩の実績年度=5月〜翌4月末
2015年度〜2018年度 旧MLC無痛 |
2019年度〜 MLCの新無痛プロジェクト |
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実施数 | 総数 | 104名 | 388名 (2022年4月末現在) 2015年度〜MLC無痛計492名 |
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初産婦 | 50名(48%) | 177名(46%) (2022年4月末現在) |
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経産婦 | 54名(52%) | 211名(54%) (2022年4月末現在) |
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吸引分娩 | 初産婦 | 52.0% | 41.8% 2020年度 |
経産婦 | 27.8% | 12.3% 2020年度 | |
帝王切開 | 1.9%※1 2020年度 | ||
分娩所要 時間※2 |
初産婦 | 9時間49分 | 12時間17分 |
経産婦 | 6時間54分 | 6時間45分 | |
臍帯血ph | 7.29 | 7.3 | |
麻酔科分娩立ち会い率 | 28% | 100%※3 | |
麻酔合併症 | 重大 | 2例:くも膜下迷入※4 | |
一般 | 1例:カテーテル閉塞 | ||
産科合併症※5 | 子宮破裂1例 | 子宮型羊水塞栓1例 |
- 通常の無痛分娩で報告されている数字よりも極めて低いこの数値は、完全立会いするMLC麻酔科医(※3)と産科医と助産師の連携とMLC妊婦さんとのつながりの結果と考えています。
- 参考までに平均的な2019年の経膣普通分娩の初産婦では初産婦14時間34分、経産婦7時間14分でした。
無痛分娩は時間がかかるとも言われています。
しかし新MLC無痛では麻酔科医師の完全立ち会い(※3)のために緊張の緩和・オーダーメイドなコントロールのためか、初産婦でも安全かつ2時間の短縮になりました。 - 現在の新MLC無痛では麻酔医師立ち合い分娩のためにきめ細やかな痛みの管理と安全な分娩が提供できています。2020年度はさらに体制強化により吸引分娩率も大幅に減少しました。
- 幸い早期発見と麻酔医師呼出しと早期発見により同時期に関西で報道された様な不幸な状態にならず母子ともに元気に退院されました。現在も新MLC無痛は麻酔科医立ち会い(※3)のためにこのような合併症にもより安全適切に即応できます。
- 羊水塞栓に関しては無痛分娩との因果関係はありません。この疾患は予測不可能で突然発症し非常に不幸な母体転帰になりますが、当院の無痛では※3の様に麻酔科医立ち会いですので迅速かつ的確な処置を施して高次機関へ転送できました。
全ての分娩における予測不能の事態での麻酔科医の重要性を実感しました。
加藤麻酔科部長の思い
私はこれまで国立循環器病研究センターなどで主に心臓麻酔や神経麻酔を専門としておりました。産科麻酔に興味を持ったきっかけは妻が3人目を無痛分娩で出産し、これまでの出産との違いにとても感動し、感謝されたのをきっかけにそのやりがいを実感し、MLCにて産科麻酔に従事しております。
MLCでは2015年から無痛分娩が始まり、ここ数年は世の中のニーズの高まりもあり無痛分娩の症例数は増えつつあります。日々の外来業務でも初産で痛みに対する恐怖心が強い、2人目で出産後も産後の体力を維持したいなどの声を聞き、無痛分娩のニーズの高まりを感じております。しかし、その一方で関西での医療事故の報道を見て無痛分娩は危ないのではないかと考えておられる方もいらっしゃるかもしれません。そのようなことが起きないように当院では麻酔専門医が24時間365日無痛分娩に対応できるような体制となっております。国立循環器病研究センターに勤務時の信頼のできる同僚である佐藤逸郎先生、江渕慧悟先生、吹田真一先生が麻酔を担当してくれます。この体制によってより一層安全に麻酔を提供できると思っております。
麻酔科としては痛みを抑えることはもちろん、妊婦さんの体の状態を第一に考え、その方にあったできる限りの快適に出産をしていただけるように努めていきます。
そして出産の負担を軽減することは、お母さんにも赤ちゃんの為にもなると実感しています。
満足していただけるような出産をしていただけるよう日々全力で取り組んでおります。
無痛分娩に興味がある方は、なんでも聞いてください。
令和4年5月
麻酔科部長 加藤真也